セイヨウタンポポとコウジカビ

セイヨウタンポポ

都市の空き地や道端でもよく見られるセイヨウタンポポは、
ヨーロッパ原産の外来植物で、「苦味があって薬になる」という意味の学名からもわかるように古くから食用や薬用に供されてきました。

日本には明治時代に野菜として栽培するために持ち込まれ、その後全国に広がったと言われていますが、
繁殖力が強く、人にとって望ましくないところにもはびこるため、もっぱらやっかいな「雑草」と認知され、今に至っています。
タンポポといえば、幼い頃に綿毛を吹いて遊んだ記憶のある人も多いことでしょう。

クロコウジカビ(コウジカビの一種)

サイズはだいぶ違いますが、タンポポの花が綿毛となった様子はコウジカビの一種、クロコウジカビにそっくりです(写真)。

aspergillus

クロコウジカビの丸い頭のような部分は胞子の塊です。
見た目だけではなく、種や胞子を作って飛ばすという繁殖方法までよく似ています。
周知のとおり、コウジカビは日本酒や味噌づくりに欠かせない存在です。
そのため、一般には有益なカビというイメージが強いですが、実はコウジカビも食品や住環境を汚染させたり、人に病気を引き起こすことがあり、
その点では有害なカビともいえます。

人の役に立つ面、人に疎まれる面

セイヨウタンポポもコウジカビも、人の役に立つ面がある一方、疎まれる面もあります。
そのどちらも、これらの生物の性質の一部分を切り取って、人の視点で評価したに過ぎないことを忘れずにおきたいものです。