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人の役に立つ”病原菌” 人の役に立つ”病原菌”

食中毒の原因菌(サルモネラ菌)も人の役に立つ?

乳酸菌や納豆菌など、人の役に立つ細菌は様々知られています。
しかし、実は人に病気を起こす病原菌の中にも人の役に立つものがあるのです。
食中毒菌として知られるサルモネラ菌もその一つです。



サルモネラ菌の活用事例:発がん性の有無を調べるエームス試験

代表的なのは、サルモネラ菌を使った化学物質の毒性(変異原性)試験です。
変異原性とは、細胞に突然変異を起こす性質のことで、細胞のガン化に結びつく恐れがあります。
ある物質の変異原性の有無を調べるには、その物質を含んだ培地でサルモネラ菌を培養し、菌に起きた変化から判定する方法が用いられます。
これはエームス試験といい、40年以上にわたって世界中で行われています。

サルモネラ菌を使った新たな試み:体内のガン細胞”だけ”を死滅させる治療法

また、サルモネラ菌を使ってガン細胞を死滅させる研究も行われています。
サルモネラ菌には、人体の細胞内に入り込んで増えるという性質があります。
これを利用して、ガン細胞にだけサルモネラ菌を入り込ませ、殺すことに成功したという研究報告が最近発表されました。
サルモネラ菌が病気を起こすメカニズムをガン治療に役立てようという新たな試みです。

細菌が人の役に立つかどうかは、人類の知恵次第

病原菌が人の病気の予防や治療に役立つというのは面白い話ですが、そもそも病原菌か有用菌かというのは、人を中心にした見方に過ぎません。
「昨日の敵は今日の友」というように、人と細菌の関係も状況によって大きく変化します。
自然を敵にするか、味方にするかは人類の知恵次第ということではないでしょうか。

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