受託試験等実施約款

第1条(総則)

  1. 本約款は、株式会社衛生微生物研究センター(以下、「当センター」という。)が試験依頼者(以下、「依頼者」という。)から受託する試験等に関する業務(以下「本業務」という。)に適用される、依頼者と当センターとの間の基本的な合意事項を定めるものです。
  2. 本約款は、依頼者と当センターとの間で個別契約が締結された場合、または個別に取り決められた事項がある場合には、当該個別契約または個別に取り決められた事項の条項が優先されます。ただし、個別契約または個別に取り決められた事項に特段の定めがない事項については、本約款の定めが適用されるものとします。

第2条(試験の委託)

  1. 依頼者は、本業務の申込みを行い、当センターはこれを受託するものとします。
  2. 当センターは、依頼内容が技術的・倫理的・法的に適切でないと判断した場合、または当センターの対応範囲外である場合、試験の受託を拒否することができます。

第3条(試験の受託)

  1. 依頼者は、以下のいずれかまたは複数の情報を提供し、当センターがこれらを受領した連絡、または個別の契約書の締結をもって、本業務の受託が成立するものとします。また、必要に応じて試験を行う物品(以下、「検体」という。)を提供いただきます。
    • ①当センターのホームページ上のフォーム(https://kabi.co.jp/application/)によるお申込み
    • ②依頼者の様式を用いた試験依頼書
  2. 当センターの判断により、本業務の受託に応じられないことがあります。
  3. 受託後に試験不能と判断した場合は、依頼者に連絡し、本業務を終了または中断する権利を有します。その時点までに要した費用は、依頼者の負担となります。

第4条(料金)

  1. 本業務の料金は、見積書に基づき決定されます。
  2. 依頼者は、試験の申込前に見積書を受領し、料金に同意したうえで申込を行うものとします。
  3. 本業務の料金は、試験結果の内容に関わらず、依頼者の指定通りに試験を実施した時点で発生します。
  4. 依頼者の都合により試験を中止する場合、中止までに要した費用を依頼者が負担するものとします。

第5条(支払方法)

  1. お支払い方法・お支払い条件は、以下の通りとします。
    • ①当センターの指定する支払い期日までに、請求書記載の銀行口座へ振込、またはクレジットカードにより支払うものとします。
    • ②銀行振込手数料は依頼者の負担とします。
  2. 依頼者が支払期限を過ぎた場合、支払期日の翌日から支払済みに至るまで、年14.6%(年365日日割計算)の遅延損害金を支払うものとします。

第6条(検体とその取扱い)

  1. 依頼者は、本業務に必要な検体を当センターに無償で提供するものとします。また、当センターは、提供された検体を本業務以外の目的には使用しません。
  2. 提供される検体が有害物質や危険物である場合、当センターは受託を拒否することがあります。事前の申し出なく、検体に起因して当センターが損害を被った場合、当センターは依頼者に損害賠償を請求できるものとします。
  3. 冷凍、遮光等の特別な保管や、特定の試薬への反応など、試験時の取扱いに注意が必要な検体については、依頼者は事前に当センターにその旨を申し出るものとします。申し出がない場合の依頼者の不利益について、当センターは責任を負いません。
  4. 依頼者は試験の開始日を指定できません。ただし、検体の特性等の事情により、当センターが検体受領から試験開始までの時間に制限がある旨の申し出が依頼者からあった場合、試験開始が可能になった時点で当センターが依頼者に連絡します。
  5. 試験に使用した検体は、事前に返却の申し出がない限り、原則として試験操作終了後直ちに廃棄します。
    • 試験に使用し、微生物が付着している検体を返却希望する場合は、事前にその旨を申し出るとともに、滅菌方法(指定がある場合はその方法)を指示する必要があります。滅菌後に返却する場合、検体の形状等が変化する可能性があります。
    • 微生物が付着した検体の非滅菌での返却を希望する場合、返却先が適切な滅菌処理施設を有している必要があり、依頼者は適切な滅菌処理の実施等を誓約する同意書に同意する必要があります。
    • 分析試験に使用しなかった検体は、事前に返却の申し出がない限り、報告書提出後直ちに廃棄します。
    • 事前の申し出がない場合でも、検体が危険物等で容易に廃棄できない場合、多量である場合、または大型・重量物である場合等、当センターの判断により依頼者に返却することがあります。
  6. 依頼者は、当センターが本業務を実施するために必要な資料、情報等を適時提供するものとします。
  7. 試験に使用した後の検体の画像の提供を希望する場合は、事前に申し出る必要があり、別途料金が発生します。画像と実際の検体の見た目が異なる可能性があることに留意ください。

第7条(試験方法)

  1. 試験方法は、依頼者と当センターが協議したうえで、最終的に依頼者が指定します。
  2. 依頼者が指定した試験方法の妥当性については、依頼者の責任において判断いただく必要があります。当センターは、試験方法の協議の際に、妥当性判断に必要と考えられる情報を提供するものとします。
  3. 依頼者が過去に当センターが他の依頼者向けに実施した試験方法に基づいて試験方法を指定する場合は、当該依頼者が、該当試験の依頼者に試験方法の開示を請求し、許可を得る必要があります。
  4. 試験方法のうち、詳細の指定がない部分については、当センターが適切と判断した方法を用います。
  5. 試験規格等を参照する場合、試験規格等に記載がない試験操作の詳細部分は当センターが適切と判断した方法を採用します。
  6. 検体の調製方法、調製量および試験面等の指定や注意事項がない限り、当センターの判断で実施します。
  7. 原則として試験計画書は発行しません。発行を希望される場合は、試験依頼前にその旨をご教示ください。なお、発行には費用が掛かる可能性があります。

第8条(秘密保持)

  1. 当センターは、依頼者から開示・提供された検体および試験等受託に関する情報、試験等の結果または試験受託検討の結果知り得た情報(以下、総称して「秘密情報」という。)について、依頼者の事前同意なしに、第三者には開示しません。ただし、以下の場合を除きます。
    • ①依頼者から開示されたまたは知得した当時、既に公知、公用であった情報
    • ②依頼者から開示されるまたは知得する以前に、当センターが既に適法に所有していた情報
    • ③依頼者から開示されたまたは知得した後、当センターの責によらないで公知となった情報
    • ④当センターが本業務と関わりなく独自に開発した情報
    • ⑤当センターが、正当な権限を有する第三者から秘密保持義務を負うことなく入手した情報
  2. 前項の規定にかかわらず、本業務の一部作業を第三者に委託する場合、前項の規定に基づき負担する義務と同様の義務を当該第三者に負担させることを条件として、当センターは当該第三者に秘密情報を開示することができるものとします。
  3. 依頼者は、知り得た当センターの施設、機器および職員に関する情報、管理方法、分析試験方法の詳細など当センターに固有の情報については、秘密に保持するものとします。
  4. 依頼者および当センターは、行政機関、司法機関または弁護士会から、情報の照会または開示命令を受け、法的に開示すべきときは、第1項及び第3項の規定にかかわらず当該情報を開示することができるものとします。
  5. 当センターが実施する試験方法・試験操作には、当センターが従来から実施しているものや当センター固有の方法が含まれる場合があります。依頼者は、当センターの事前の同意なく本業務に使用された試験方法を特許出願しないものとします。
  6. 当センターは、秘密情報を本業務のためのみに使用し、契約終了後または依頼者の要請に応じ、秘密情報を返還または破棄します。

第9条(試験結果の報告)

  1. 当センターは、試験終了後、速やかに試験結果を和文の試験検査報告書(以下「報告書」といいます)として発行します。ただし、依頼者と当センターが事前に合意した場合、または研修等成果物の性質上書面化できない場合はこの限りではありません。
    • 報告書は原則としてPDF形式で発行され、印刷、製本、郵送は行いません。
    • 依頼者の希望に応じて、検体の種類ごと、微生物種ごとなどに報告書の内容を分割・抜粋できますが、分割・抜粋により一定部数を超える場合は別途料金が発生します。記載内容の正確性に影響があると当センターが判断した場合、分割・抜粋はできません。
    • 依頼者が英文報告書を希望する場合、当センターは和文報告書発行後、通常1週間程度で発行します(特急対応の場合も同様)。英文報告書のみの発行はできず、必ず和文報告書が発行されます。英文報告書の発行には、第10条(英文報告書の発行に関する規定)は適用されません。
  2. 試験に用いる菌株、試薬、備品等の準備や、微生物の生育状況等により、当センターが通知した予定納期よりも報告書の発行が遅れる場合があります。
  3. 依頼者は、報告書受領後速やかに内容を確認し、異議がある場合は通知するものとします。報告書発行後の記載内容の変更は原則としてできません。特に、検体名称の変更は一切できません(速報段階も同様)。報告書の記載内容の修正を希望する場合、依頼者は事前に申し出ることにより、正式発行前に報告書案の送付を受けることができます。ただし、この場合も検体名称の変更はできません。
  4. 事前に依頼があり、当センターが了承した場合、試験途中の結果を速報としてメールで報告することが可能です。速報送付後の検体名称の変更は一切できません。速報をご希望の場合、別途料金が発生することがあります。
  5. 報告書発行日から10年以内であれば、追加発行を請求できます。発行部数が一定以上になる場合は、別途費用が発生します。
  6. 試験結果や試験方法に関する画像、生データ、使用機器・器具の校正記録、試験計画書等の資料を希望する場合は、事前に書式等を協議の上、別途料金が発生する場合があります。シャーレ画像は、試験結果を直接表すものではないことに留意ください。
  7. 報告書は、提供された検体を用いて実施した試験の方法や結果をまとめたものであり、検体の効果を保証・証明するものではありません。試験結果の解釈に関する参考情報は提供できますが、最終的な判断は依頼者の責任において行うものとします。報告書には、当センターで実施していない、または確認していない内容や推測を含む内容は記載できません。
  8. 試験結果に基づき依頼者が再試験を希望し、当センターが了承する場合、同一検体(追加送付不可)、同一試験方法、同一試験条件に限り1回まで無償で実施します。異なる検体、試験方法、試験条件での再試験や、同一検体であっても新規に送付された場合は、別途料金が発生します。再試験結果の再現性は保証されるものではなく、再試験時の報告書発行予定日は当初の予定日から変更されます。
  9. 生育が不安定な微生物を用いた試験等において、対照で微生物が生育しない等の理由で試験が成立しない場合でも、料金は発生します。

第10条(英文報告書の発行に関する規定)

  1. 依頼者が英文報告書を希望する場合、和文報告書発行後に別途申し込むものとします。
  2. 英文報告書の発行には別途料金が発生します。
  3. 英文報告書の内容は和文報告書の内容と同一であり、和文報告書との間に相違がある場合は、和文報告書の内容が優先されます。

第11条(成果の帰属)

  1. 本業務の過程で生じる技術的成果およびそれに基づく知的財産権は依頼者に帰属します。
  2. ただし、当センターが依頼者から提供された情報とは独立して取得した技術的手法に関する知的財産権は当センターに帰属するものとします。

第12条(試験結果の公表・掲載)

  1. 試験により得られた結果は依頼者に帰属します。依頼者が製品、ラベル、広告、ホームページ等に当センターの名とともに試験結果を掲載する場合は、依頼者の責任において実施するものとし、掲載前に当センターにその旨を通知するものとします。
  2. 当センターが試験結果や技術的成果を外部に公表する場合は、事前に依頼者の承諾を得るものとします。
  3. 依頼者が本業務で得た試験結果や技術的成果を公表する際、当センターの技術的情報を含む場合は、事前に当センターの承諾を得るものとします。
  4. 依頼者の作成した掲載物等により、当センターの名誉や信用が傷つけられた場合、当センターは法令の定めるところに従い、損害賠償請求等の措置を講じることができるものとします。また、広告物の内容によっては、事前に当センターが確認させていただく場合があります。

第13条(特急対応)

  1. 依頼者の希望に応じて、追加料金(特急料金)をお支払いいただくことで、納期短縮のための対応(特急対応)が可能な場合があります。報告の期日については、依頼者と当センターが別途協議の上、決定します。
  2. 特急対応は、和文の報告書発行期日にのみ適用され、英文報告書、画像、その他の記録や書類には適用されません。
  3. 協議された報告期日は保証されるものではなく、試験菌の活性等の理由により期日までに試験が実施できない、または再試験が必要となるなど、期日までに報告できない可能性があります。期日までに報告ができない場合、依頼者は特急料金を支払う必要はありません。
  4. 試験内容や依頼時期によっては、特急対応ができない場合があります。過去に同様の試験で特急対応を行った場合でも、その都度、特急対応の可否を判断します。
  5. 特急対応の有無にかかわらず、依頼者の希望に応じて、事前の協議により検体到着前に可能な範囲で試験準備を行うことができます。この協議の際、依頼者は当センターに検体の到着予定日を通知する必要があります。

第14条(契約の解除・変更に伴う精算)

  1. 当センターおよび依頼者は、以下のいずれかの事由に該当する場合、相手方に対し書面または電磁的記録による通知を行うことにより、本業務を即時解除することができます。
    • ①本約款に定める秘密保持義務に違反した場合
    • ②その他、本業務の遂行が困難と判断される場合
  2. 解除に伴い発生する費用は、解除の原因となった当事者が負担するものとします。
  3. 試験受託成立後、依頼者が本業務の変更または中止を希望する場合は、その旨を当センターにメール等で連絡するものとします。依頼者の都合による変更・中止、あるいは検体固有の事由または事前に依頼者に通知済みの微生物の発育の問題等により分析不能となった場合、変更・中止までまたは分析不能となるまでに要した費用は、依頼者の負担とし、実費で精算するものとします。

第15条(損害賠償、責任の範囲)

  1. 当センターおよび依頼者は、本業務に関連して相手方に損害を与えた場合、その損害を賠償する責任を負います。
  2. 当センターの損害賠償責任は、依頼者が支払った試験料金の総額を上限とします。依頼者が本業務の結果を利用することにより生じた損害については、当センターは一切の責任を負いません。
  3. 当センターの責めに帰すべき理由により本業務に誤りがあった場合、当センターは依頼者と協議の上、以下のいずれかの措置を講じるものとし、これ以外の責任は負わないものとします。
    • ①当センターの費用負担による本業務の再実施
    • ②試験料金の減額

第16条(個人情報の利用目的)

  1. 依頼者の個人情報は、本業務に関わる連絡・確認、報告書の作成、その他の関連業務以外には利用いたしません。当センターの個人情報の取扱いについては、当センターのホームページ上の「プライバシーポリシー」(https://kabi.co.jp/privacy-policy/)をご参照ください。

第17条(約款の有効期間)

  1. 本約款の有効期間は、依頼者が本業務を申し込んだ日から試験結果の報告までとします。
  2. 第8条、第11条、第12条の規定は、本業務終了後も5年間有効に存続します。

第18条(反社会的勢力の排除)

  1. 依頼者および当センターは、現在及び将来にわたり、自己、自己の役員及び実質的に自己の経営を支配する者が反社会的勢力(暴力団、暴力団員その他これらに準ずる者をいう。)に該当しないこと、及び反社会的勢力と一切関係を有していないことを表明し確約するものとします。
  2. 依頼者および当センターは、自ら又は第三者を利用して、暴力的な要求行為、法的責任を超える不当な要求行為、詐術・脅迫的行為、業務妨害行為、その他これらに準ずる行為を行わないことを表明し確約するものとします。
  3. 依頼者および当センターは、相手方が前2項に違反したとき、又は違反していたことが判明したときは、何らの催告を要せず、直ちに本契約を解除することができるものとします。なお、本項による解除によって相手方に生じた損害を賠償する義務を負わないものとします。

第19条(疑義の解決)

  1. 本約款に定めのない事項や解釈に疑義が生じた場合、依頼者および当センターは誠意をもって協議し解決するものとします。

第20条(準拠法および管轄裁判所)

  1. 本約款は日本法を準拠とし、紛争が生じた場合、東京地方裁判所を第一審の専属管轄裁判所とします。

第21条(不可抗力)

  1. 天変地異や、その他当センターの責に帰することのできない事由により本業務の遂行が困難となった場合は、両者協議のうえ、その措置を決定します。

以上

(制定・改定:2025年5月1日)