カビと細菌は同じ?いいえ、違います
汚染微生物を指す”バイキン”という言葉は、漢字では黴菌と書きます。俗称ですので明確な定義があるわけではありませんが、一般名称人間の意図に反して増殖したり、人間に対して何らかの害を及ぼす細菌やカビ(および酵母)を意味します。
このようにカビと細菌は暮らしにおける困り者としてまとめて扱われることが多いですが、実は全く異なる生物です。何が違うのでしょうか。
カビと細菌は全く別物~細菌は単細胞、カビは多細胞!
まずカビと細菌では歴史が違います。細菌が地球上に現れたのは約40億年前、カビは約10億年前と言われており、生物としては細菌の方が大先輩です。
細菌のような原始的な生物から30億年かけて進化した先にカビがあると考えれば、細胞の基本構造から増殖方法に至るまで、両者の生物としての有り様がことごとく異なることも理解できるでしょう。
単細胞生物である細菌は、生きるための最小限の機能を一つ一つの細胞に持っているため、子孫を残すには単純な二分裂で事足ります。
対してカビは様々な形態や機能を持つ細胞からなる多細胞生物で、生殖には専用の細胞を作るなど、子孫を残す仕組みも複雑です。
カビと細菌の違い
カビ | 細菌 | |
光学顕微鏡像 | ||
誕生 | 約10~20億年前 | 約40億年前 |
基本構造 | 多細胞生物 | 単細胞生物 |
種類 | アオカビ、コウジカビなど | 大腸菌、サルモネラ菌など |
大きさ | 2~10マイクロメートル | 0.5~5マイクロメートル |
カビと細菌、異なる特性を理解することが大切
カビと細菌の生物としての違いは、これらによる被害対策を考える上で重要です。
例えば、細胞の構造の違いから細菌に効果のある薬剤がカビには効かなかったり、カビが死滅する温度で生き延びる細菌がいたりします。
生物ごとの特性を知った上で、上手に付き合っていくことが肝心なのです。