わずか3/1000㎜のクロコウジカビの胞子。その増殖力は・・・
コウジカビの一種であるクロコウジカビ(アスペルギルス・ニガー)の胞子の大きさは3~5ミクロンほどです。(1ミクロン=1mmの1/1000)
あまりに小さいので肉眼では見えません。
この胞子を発育に適した環境で培養すると、一週間で直径6cmの塊(集落)に成長し、肉眼で観察できるようになります。
このような手法を巨大培養、できた集落を巨大集落といいます。
”クロコウジカビ”の大きさを”米一粒”と仮定すると・・・
6cmで”巨大”とは随分大げさな表現のようですが、仮にクロコウジカビを稲に置き換えて想像してみると、その意味がわかると思います。
稲の種である米(玄米)の長径は4mm程度で、クロコウジカビの胞子の約1,000倍の大きさです。
その縮尺でクロコウジカビ同様に稲が成長したとすると、一粒の米が一週間後には直径60mの稲田となり、米がたくさん実っていることになります。
この並外れた増殖力からすれば、”巨大”という表現も納得できるのではないでしょうか。
カビの並外れた増殖力
普段の生活の中で、私たちはカビの増殖力にしばしば悩まされています。
一方で、自然界においてカビが動植物の死骸を分解する際には、その能力が大いに役立っていると考えられます。
もし、カビの増殖力を食糧生産に応用できたらどうでしょうか。
世界の食糧問題はすぐに解決するかもしれません。
カビの能力をいかに有効利用するかは、これからの科学の大事な課題の一つといえます。