続・微生物の数え方

続・微生物の数え方

微生物を培養して数える方法は、広く用いられています

続・微生物の数え方

微生物の数え方」で紹介した微生物の数え方の内、培養による方法は食品や水、
種々の環境などに存在する微生物の量を知るのに広く用いられています。
この方法についてもう少し説明しましょう。

1万個、2万個、…5万個!一体どうやって数えるの?

微生物を数える際は、直径9~10cmの円形の容器(シャーレ)に入った寒天培地で培養するのが一般的ですが、
細菌の場合、この培地面積で正確に数えられる集落数は30~300個の範囲であり、それより多くても少なくても精度に欠けると判断されます。
しかし、食品衛生法に定める牛乳の規格基準は1ミリリットル(mL)当たり5万個以下です。
どうやって5万個もの集落を数えるのでしょうか。

培地上の集落が多すぎると集落同士がくっついて数えにくくなりますし、個々の集落の生育も悪くなります。
第一、5万個の集落などとても数えられません。

希釈培養法~あらかじめ希釈してから培養し、数える方法を使います

そこで、検査対象物に多くの微生物が含まれることが予想されたときは、培養前に「希釈」を行います。
牛乳の場合、まず希釈水で10倍、100倍に薄めます。
10、100、1,000倍…に薄まった牛乳液を各1ミリリットル(mL)培養し、集落数が30~300個のものを選んで、
希釈倍率からもとの牛乳1ミリリットル(mL)当たりの生菌数を算出するのです。

例えば、牛乳Aを希釈、培養した結果、100倍希釈で集落数が36個だったとします。
この場合、牛乳Aの1ミリリットル(mL)当たりの集落数は36×100=3,600個、生菌数は3.6×103 cfu/mLとなります。
このように検査対象物を希釈して培養する方法を希釈培養法といいます。