石けんはカビのエサになる?

石けんはカビのエサになる?

浴室に生えるカビの原因は石けん?

気づくとあちこちに黒いシミが・・・浴室に生えるカビは本当に困りものです。

昔から、浴室のカビは石けんや石けんカスをエサにして増えるといわれてきました。
恐らく今も多くの人がそう信じていると思います。
でも、この話、本当なのでしょうか?

石けんはカビのエサ?2つの実験の結果は・・・

それを確かめるために、浴室によくみられるクロカビ(クラドスポリウム)を使って実験してみました。
まず、クロカビの胞子を直接石けんと石けんカスに塗り付けて、カビが最も生えやすい25℃、湿度97%の環境に1カ月間置きました。(※)
結果、クロカビは生えてきませんでした。

次に、カビの培養に使う培地にクロカビの胞子を塗り付け、その上に1cm角に切った石けんをのせて25℃で1週間置いたところ、
石けんの周囲にだけカビは生えませんでした(写真)。
これは、培地にしみ込んだ石けん成分の影響と考えられます。

石けんはカビの生育を抑えることが判明

これらの実験から、カビは石けんや石けんカスをエサにするどころか、石けん成分によって生育が抑えられることがわかりました。
浴室のカビの主なエサは、皮脂や垢、毛髪などの汚れです。

古くなって変質した石けんや石けんカスにそれらが付着または混合したところにカビが生えたのを見た人が、石けんはカビのエサになると思い込んだのでしょう。
生活の中の常識もたまには疑ってみることが必要かもしれません。

※なお、実験には薬用石けんではなく、市販の普通石けんを用いました。