「トイレより汚い」ってどれだけ汚い?

「トイレより汚い」ってどれだけ汚い?

「トイレ」は”汚い”の代名詞?

「トイレより汚い」ってどれだけ汚い?

最近「トイレより菌が多い」という言い回しをよく目にします。
トイレよりさらに汚い、非常に汚れた状態を表す際に使われているようです。
これで意味が通じるには、”菌が多い=汚い”という前提と、”トイレは汚いものである”という共通認識が必要ですが、いずれも根拠は曖昧です。
この表現が適切か、今一度考えてみましょう。

”菌が多い=汚い”ではない

まず菌数で汚さを判断できるかです。
細菌は生活環境のほどんどの場所に存在しますが、それらの多くは私たちの体に由来するものです。
単純に菌数だけで判断すると、家の中で一番汚いのは人ということになりかねません。
もちろん人が生きていくのに細菌との共生関係は不可欠であり、通常そのような関係にある細菌を汚いとは言いません。
菌数の多さと汚さは必ずしも一致しないのです。
”菌”というと腐敗菌や病原菌の負のイメージが強いため、感覚的に”菌が多い=汚い”と思われるようになったのでしょう。

一般家庭のトイレは、実は清潔な場所

トイレの清潔度についてはどうでしょうか。
トイレといっても、家庭のトイレか公衆トイレか、トイレのどこかなどで汚れ具合は異なります。
一般家庭の便座についていえば、検出される細菌数は意外に少なく、家の中でもかなり清潔な場所といえます。
菌数で判断するならば、トイレを汚さの象徴と決めつけるのは間違いでしょう。
「トイレより菌が多い」はあくまでも象徴的な言い回しであり、裏付けがある科学的な表現ではないということです。