概要
光触媒を含有する抗菌加工製品における抗菌試験方法です。
平板状材料・繊維状材料いずれにも適用可能です。
試験方法
フィルム密着法とガラス密着法の2種類の方法があります。
フィルム密着法は平板状材料、ガラス密着法は繊維状材料に適用します。
- フィルム密着法
滅菌水で濡らした調湿用ろ紙を置いたシャーレにガラス棒を置き、その上に試験片を置く。試験片の光触媒抗菌加工した面に試験菌液(1/500ニュートリエント培地を用いて調製、105~106 CFU/mL)を0.15 mL接種し、ポリエチレンフィルム(表面積 800~1600 mm2)を被せ、ガラスでシャーレにふたをする。 - ガラス密着法
滅菌水で濡らした調湿用ろ紙を置いたシャーレにガラス棒を置き、その上にガラス板(55~60 mm四方)を置く。試験片を置き、試験片の光触媒抗菌加工した面に試験菌液(1/20ニュートリエント培地を用いて調製、104~105 CFU/mL)を0.2 mL接種し、ガラス板(50±2 mm四方)を被せ、ガラスでシャーレにふたをする。 - フィルム密着法・ガラス密着法共通
30分以上予備点灯した紫外線照射装置を用い、試験片に依頼者指定の照度(紫外放射照度0.25 mW/cm2未満)で光が当たるようにシャーレと照射装置の位置を調整する。25±3℃で8時間光照射するか、8時間暗所に保存する。試験菌液接種直後、8時間光照射後、8時間暗所保存後の試験片をそれぞれ洗い出し、生菌数を測定する(それぞれの条件あたり3枚の試験片について行う)。
*代表的な場所における紫外放射照度(JIS R 1702より)
紫外放射照度 | 代表的な場所 |
0.25 mw/cm2 | 昼間の窓際、光触媒機能を作用させるために使用される光源などを使う場合 |
0.10 mw/cm2 | 昼間の室内(太陽光が入る窓から1.5 m程度内側まで)、朝または夕方の窓際) |
0.01 mw/cm2 | 昼間の室内(太陽光が入る窓から3 m程度内側まで) |
0.001 mw/cm2 | 太陽光が入らない昼間の室内、夜間の室内(蛍光灯の紫外線) |
*照射時間は、光触媒抗菌加工材料の用いられる場所の実情を考慮して、4時間を下限として短くしても構いません。
試験菌種
〇フィルム密着法
・Staphylococcus aureus NBRC 12732(黄色ブドウ球菌)
・ Escherichia coli NBRC 3972(大腸菌)
〇ガラス密着法
・Staphylococcus aureus NBRC 12732(黄色ブドウ球菌)
・Klebsiella pneumoniae NBRC 13277(肺炎桿菌)
*規定の菌種は上記2菌種です。試験の目的によって、試験菌種を規定から変更することも可能です。
*細菌に規定されている方法ですが、酵母での実施の要望も受け付けております。培養条件(前培養時、生菌数測定時)を、酵母に適した条件に変更します。
検体の必要量
〇サイズ
50±2 mm四方(厚さ10 mm 以内)
〇最低必要枚数
・光触媒抗菌加工試験片:1菌種あたり6枚(2菌種合計12枚)、
・無加工試験片:1菌種あたり9枚(2菌種合計18枚)
*上記のサイズへの加工が難しいようでしたら、その旨ご相談ください。
*可能でしたら、予備も含め最低必要枚数の2倍量程度ご提供ください。
*無加工試験片が準備できないようでしたら、フィルム密着法の場合はガラス板、ガラス密着法の場合は綿布を弊社で準備して使用することも可能です。ただし、加工有無の効果の比較ではなく、適当な対照との比較となってしまいますので、あらかじめご了承ください。
*ご希望でしたら、事前に検体の殺菌処理を行ってから試験します。消毒用エタノールでの清拭、紫外線照射、高圧蒸気滅菌、乾熱滅菌などが可能です。
試験実施にあたって必要な情報
お見積りにあたっては、下記のような情報を頂ければスムーズです。
・検体の種類数
・無加工試験片に該当する検体の準備の有無
・要求される成果物※(和文報告書以外にあれば)
・試験菌種(規定と異なる菌種で実施したい場合)
・光照射の照度と照射時間(試験方法参照)
※ 特にご要望がなければ、和文のご報告書(試験方法・試験結果(試験成立条件の判定結果、生菌数、抗菌活性値)を記載、画像なし)のみとなります。
納期
4週間~
*詳しくはお問い合わせください。
費用
その他試験方法のご案内
弊社では、さまざまな試験方法で試験を受託しております。
*弊社で受託している主な抗菌性試験・抗カビ性試験の一覧
以下に挙げた以外にも試験実施が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
調べる内容 | 試験名 | 主な検体 性状 |
---|---|---|
検体と菌の接触 による除菌効果 (直接) | ・液剤の除菌試験(試験菌懸濁法) | 液体 |
検体と菌の接触 による除菌効果 (担体を介して) | ・住宅用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法 ・スポンジに対する台所用合成洗剤及び石けんの 除菌活性試験方法 ・液剤の除菌試験(硬質表面キャリア法) | 液体 |
物理的処理 による除菌効果 | ・ウェットワイパー類の除菌性能試験方法 | ウェットワイプ |
検体による菌の 増殖・発育抑制 効果(定量) | ・抗菌試験(JIS Z 2801) | 平板状の 試験片 |
・シェーク法 | 特殊な形状の 試験片 | |
・抗菌試験(JIS L 1902(菌液吸収法)) ・JIS L 1921(繊維製品の抗かび性試験方法) ・AATCC TM100(繊維材料の抗菌加工に関する試験方法) | 吸水性のある 試験片 | |
・吸水性樹脂抗菌性能試験方法 (日本衛生材料工業連合会・吸水性樹脂工業会) | 吸水性樹脂 試験片 | |
・JIS R 1702(光触媒の抗菌試験) ・JIS R 1705(光触媒の抗かび試験) | 光触媒加工した 試験片 | |
・JIS K 6400-9(軟質発泡材料の抗菌試験) | スポンジ製品等 | |
・バイオフィルム測定法 | 試験片、液体など | |
検体による菌の 増殖・発育抑制 効果(定性) | ・ハロー法 | 液体、繊維片 など |
・カビ抵抗性試験 | さまざまな性状 の検体 | |
検体処理による 除菌効果 | ・除菌試験(UV照射) | 紫外線照射装置 |
・除菌試験(モップ・ロボット掃除機) | モップ、 ロボット掃除機など |