概要
液状・ペースト状の検体の除菌・抗菌効果を調べる際に最もよく行われる試験方法です。検体が菌と接触したときに、ご指定の時間で菌がどの程度死滅するかを定量的に確認することができます。検体の使用方法によらず、検体の基礎的な除菌効果を調べる際によく用いられます。
試験方法
試験試料※110 mLに試験菌液を0.1 mL接種し、一定時間(3点、例:10秒、10分、30分など※2)静置した後、生菌数を測定する。
※1 ご提供いただく検体をそのまま、またはご指定の濃度・溶媒で希釈して用います。固体(粉末など)の検体を希釈して用いることも可能です。対照には、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水、精製水などを用います。
※2 ご指定いただく必要がございます。検体の効果を期待する時間ですので標準的な設定はございません。短時間であれば10秒~数分、長時間であれば数十分~数時間等、検体の効果を期待する時間を具体的にご指定ください。詳細はこちら。
【参考】液体サンプルで行われるその他の試験方法
試験片に検体で処理(噴霧など)をして、処理前後の生菌数を測定する方法もございます。
・住宅用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法
・スポンジに対する台所用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法
参照規格
「日本薬局方 参考情報 消毒表及び除染法 2.2.1 試験菌懸濁法*」、
「ASTM E 2315」、「EN 13727」、「EN 13624」、「EN 17126」など
*最もよくご依頼いただく参照規格です。
試験菌種
ご依頼いただくことが多い菌種は下記の通りです。下記に限らず、ご希望に応じて試験実施が可能です。
●細菌
Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌*1)、Escherichia coli(大腸菌*2)、
Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)、Bacillus subtilis(枯草菌*3)など。
*1 MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)でも実施可能です。
*2 O157やO111(腸管出血性大腸菌)でも実施可能です。
*3 栄養体のほか、芽胞状態でも実施可能です。
●酵母
Candida albicans、Rhodotorula glutinisなど。
●カビ
Aspergillus niger [またはAspergillus brasiliensis](クロコウジカビ)、Cladosporium sphaerospermum(クロカビ)など。
*関連URL
細菌に関する多くの試験で黄色ブドウ球菌と大腸菌を用いるのはなぜですか?
検体の必要量
1菌種・1検体あたり70 mL以上(予備を含む)をご提供ください。
*ご指定いただく時間によっては140 mL以上必要となる場合がございます。詳細はお問い合わせください。
*上記必要量に満たない場合は、ご提供可能な量をご提示のうえ、ご相談ください。
費用
時間や菌種などによりますので、詳細はお問い合わせください。
試験期間
2週間~
*菌種や検体数、時間などによりますので、詳細はお問い合わせください。
試験実施にあたって必要な情報
お見積りにあたっては、下記のような情報を頂ければスムーズです。
・ご希望の試験菌種
・検体の種類数
・ご希望の時間
・(検体を希釈して用いる場合)ご希望の濃度、溶媒
・要求される成果物※
・(日本薬局方以外で特別ご要望があれば)ご希望の参照規格、試験方法
※特にご要望がなければ、和文のご報告書(試験方法・試験結果(生菌数)を記載、画像なし)のみとなります。
試験結果の一例
検体名称 | 初発菌数 | 30秒後 | 3分後 | 30分後 | |
検体A | 6.0×106 | 平均値 | 1.5×104 | 1.4×102 | <10 |
各試料値 | 3.3×104 | 4.7×101 | <10 | ||
7.8×103 | 2.8×102 | <10 | |||
5.6×103 | 8.6×101 | <10 | |||
対照 | 6.0×106 | 4.5×106 | 5.3×106 | 3.2×106 |
*結果の解釈についてはこちら。
よくあるご質問
除菌試験全般に関するよくあるご質問は、こちらをご参照ください。
その他試験方法のご案内
弊社では、さまざまな試験方法で試験を受託しております。
*弊社で受託している主な抗菌性試験・抗カビ性試験の一覧
以下に挙げた以外にも試験実施が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
調べる内容 | 試験名 | 主な検体 性状 |
---|---|---|
検体と菌の接触 による除菌効果 (直接) | ・液剤の除菌試験(試験菌懸濁法) | 液体 |
検体と菌の接触 による除菌効果 (担体を介して) | ・住宅用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法 ・スポンジに対する台所用合成洗剤及び石けんの 除菌活性試験方法 ・液剤の除菌試験(硬質表面キャリア法) | 液体 |
物理的処理 による除菌効果 | ・ウェットワイパー類の除菌性能試験方法 | ウェットワイプ |
検体による菌の 増殖・発育抑制 効果(定量) | ・抗菌試験(JIS Z 2801) | 平板状の 試験片 |
・シェーク法 | 特殊な形状の 試験片 | |
・抗菌試験(JIS L 1902(菌液吸収法)) ・JIS L 1921(繊維製品の抗かび性試験方法) ・AATCC TM100(繊維材料の抗菌加工に関する試験方法) | 吸水性のある 試験片 | |
・吸水性樹脂抗菌性能試験方法 (日本衛生材料工業連合会・吸水性樹脂工業会) | 吸水性樹脂 試験片 | |
・JIS R 1702(光触媒の抗菌試験) ・JIS R 1705(光触媒の抗かび試験) | 光触媒加工した 試験片 | |
・JIS K 6400-9(軟質発泡材料の抗菌試験) | スポンジ製品等 | |
・バイオフィルム測定法 | 試験片、液体など | |
検体による菌の 増殖・発育抑制 効果(定性) | ・ハロー法 | 液体、繊維片 など |
・カビ抵抗性試験 | さまざまな性状 の検体 | |
検体処理による 除菌効果 | ・除菌試験(UV照射) | 紫外線照射装置 |
・除菌試験(モップ・ロボット掃除機) | モップ、 ロボット掃除機など |
不明点ございましたら、お気軽にご連絡下さい。
詳しく知りたい方はこちら:よくあるご質問 > 液剤の除菌試験