目的・概要
フィルターや浄水器など、ろ過を用途とした検体が、どの程度微生物を除去できるかを調べる試験です。
その他、ご指定の方法に基づいて試験を実施したり、浄水器の使用方法などに基づいて試験を設計して実施したりすることも可能ですので、ご相談ください。
試験方法
◆JIS K 3835 精密ろ過膜エレメント及びモジュールの細菌補足性能試験方法(最も多いケース)
① 試験菌を培養し、精製水などに懸濁させ、試験菌液※1を調製します。
② 協議した方法で、検体(フィルターなど)に試験菌液を通します。必要に応じて、適切な方法で加圧※2します。
③ 通液前後の生菌数をメンブレンフィルター法、寒天平板塗抹法などにより測定します。
④ 対数減少値(LRV、Log Reduction Value、ろ過前後の試験菌液の常用対数値の差)で検体の性能を評価します。
◆JIS S 3201 附属書B 細菌除去性能試験方法
① 試験菌を培養し、精製水に懸濁させ、試験菌液※1を調製します。
② ご指定の方法で、検体(浄水器)に規定の量の試験菌液を通液します。通液前後の試験菌液をそれぞれ約100 mL採取します。
③ 寒天平板塗抹法またはメンブレンフィルター法により、通液前後の生菌数を測定します。
④ 細菌補足性能(ろ過前後の試験菌液の常用対数値の差)を算出します。
※1 試験菌液の濃度や通液量は事前に協議が必要です。
※2 圧力は検体の使用方法などをもとに、ご指定ください。(例: 100 kPaなど)
*その他、ご希望の方法がございましたら、お気軽にご相談ください。
*気体を介して菌をフィルターに通す方法は承っておりません。気体を通す用途のフィルターであっても、必ず液体を介して試験を行います。
*試験後の検体を光学顕微鏡などで観察しても、試験菌を観察することはできません。
試験菌種
下記の菌種のご依頼が多いです。
Brevundimonas diminuta、Escherichia coli など
その他の菌種でもご対応可能ですので、ご相談ください。菌種に迷われる場合は、ご相談ください。
検体の必要量、試験の費用と期間
検体の種類や試験内容・条件により異なりますので、お気軽にご相談ください。
試験実施にあたって必要な情報
お見積書作成や試験実施をスムーズに行うため、可能な範囲で下記の情報をご提供ください。
- 検体(フィルター、浄水器など)の種類数
- 試験菌種(例:Brevundimonas diminuta)
- 検体の使用方法※1
- (中空糸膜フィルターなどの場合)親水化処理が必要かどうか※2
- n数(特にご指定がない場合は、n=1となります)
- 要求される成果物※3
- 検体の滅菌等の必要有無※4
※1 フィルターのハウジングや、液体圧送用タンクに接続するためのアダプターなどのツールのご準備について、お打ち合わせが原則必要となります。
※2 検体が疎水性であり、そのままでは通水できない場合、何らかの方法で親水化処理を行う必要がありますので、親水化処理の方法をご教示ください(100 kPaでIPAを100 mL通液し、その後精製水1 Lを通液してIPAを洗浄する、など)。弊社にて親水化処理が必ずしも適切に実施できるとは限りませんので、可能であれば、親水化処理を行った後に、ウェットパック状態などでご提供いただけるとスムーズです。
※3 標準の試験報告書には、主に下記の内容が含まれます。
・試験方法
・試験結果(生菌数、対数減少値)
特にご要望がなければ、和文のご報告書のみとなります(生菌数のイメージを表す画像などは特になし)。
※4 通常、フィルターおよびハウジングを高圧蒸気滅菌(121℃で15~20分程度)してから試験に用いますが、検体が熱に弱いなど、高圧蒸気滅菌ができない場合はそのまま用いますので、別途ご相談ください。 なお、試験に使用した検体の返却をご希望の場合、原則として高圧蒸気滅菌後のご返却となります。
*弊社ではさまざまな形のフィルターやハウジングをご提供いただき、試験を実施いたしますので、細心の注意を払って試験を実施したとしても、一度では試験が適切に行えない可能性もございます。可能でしたら、予備の検体をご準備いただければ幸いです。 試験に使用しなかった検体については、そのままのご返却が可能ですので、ご希望をお知らせください。
その他試験方法のご案内
弊社では、さまざまな試験方法で試験を受託しております。
*弊社で受託している主な抗菌性試験・抗カビ性試験の一覧
以下に挙げた以外にも試験実施が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
調べる内容 | 試験名 | 主な検体 性状 |
---|---|---|
検体と菌の接触 による除菌効果 (直接) | ・液剤の除菌試験(試験菌懸濁法) | 液体 |
検体と菌の接触 による除菌効果 (担体を介して) | ・住宅用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法 ・スポンジに対する台所用合成洗剤及び石けんの 除菌活性試験方法 ・液剤の除菌試験(硬質表面キャリア法) | 液体 |
物理的処理 による除菌効果 | ・ウェットワイパー類の除菌性能試験方法 | ウェットワイプ |
検体による菌の 増殖・発育抑制 効果(定量) | ・抗菌試験(JIS Z 2801) ・繰返し除菌性試験(JIS Z 2811) | 平板状の 試験片 |
・シェーク法 | 特殊な形状の 試験片 | |
・抗菌試験(JIS L 1902(菌液吸収法)) ・JIS L 1921(繊維製品の抗かび性試験方法) ・SEKマーク繊維製品認証基準(JEC301) ・AATCC TM100(繊維材料の抗菌加工に関する試験方法) | 吸水性のある 試験片 | |
・吸水性樹脂抗菌性能試験方法 (日本衛生材料工業連合会・吸水性樹脂工業会) | 吸水性樹脂 試験片 | |
・JIS R 1702(光触媒の抗菌試験) ・JIS R 1705(光触媒の抗かび試験) | 光触媒加工した 試験片 | |
・JIS K 6400-9(軟質発泡材料の抗菌試験) | スポンジ製品等 | |
・バイオフィルム測定法 | 試験片、液体など | |
・置き型・貼付型の検体の除菌試験 | 置き型・貼付型の検体 | |
検体による菌の 増殖・発育抑制 効果(定性) | ・ハロー法 | 液体、繊維片 など |
・カビ抵抗性試験 | さまざまな性状 の検体 | |
検体処理による 除菌効果 | ・除菌試験(UV照射) | 紫外線照射装置 |
・除菌試験(モップ・ロボット掃除機) | モップ、 ロボット掃除機など | |
検体処理による 漂白効果 | ・カビ除去試験 | 塩素系カビ取り剤 |
検体処理による 除菌効果 | ・ろ過性能確認試験 | フィルター、浄水器など |
・洗濯に関連する除菌・抗菌・抗カビ試験 | 洗濯機、洗剤など |