概要
液状・ペースト状の検体の除菌・抗菌効果を調べる際に行われる試験方法です。
試験片表面上の菌に対して、検体(消毒剤など)を滴下するなどの処理をし、一定時間経過したときの生菌数を測定する方法です。
試験菌懸濁法は菌と検体を直接接触させるのに対し、硬質表面キャリア法は試験片を介して菌と検体を接触させます。
検体そのものの純粋な効果を調べる試験菌懸濁法のご依頼が多いですが、試験片を介した効果を特別に確認したい場合は硬質表面キャリア法を用います。
試験方法
① 試験菌液の調製
試験菌を生理食塩水などに懸濁し、試験菌液を調製します。
試験目的に応じて、負荷物質(汚れ成分、牛血清アルブミンなど)を添加します。
② 試験片の準備
5 cm四方や直径2 cmの試験片※1を準備します。ご希望が特になければ、n=3で試験を行います。
※1 試験片の材質をご指定ください。合成樹脂(ポリプロピレン)、ステンレス(SUS304)、ガラスでしたら、弊社にて準備することが可能です。その他の材質の場合はご相談ください。 特にご希望がない場合は、合成樹脂を用います。
③ 試験片への試験菌液の接種
試験片1枚あたり105~107 CFUとなるよう、試験菌液を接種します。
④ 試験片への検体による処理、静置
試験片を検体※2で処理※3し、一定時間※4静置します。
※2 ご提供いただく検体をそのまま、またはご指定の濃度・溶媒で希釈して用います。固体(粉末など)の検体を希釈して用いることも可能です。対照には精製水や硬水などを用います。ご希望の対照がございましたら、ご相談ください。
※3 滴下、噴霧、拭き取りなど。具体的な処理方法をご指定ください。
※4 静置時間をご指定ください。静置温度を指定することも可能です。
⑤ 生菌数測定、評価
静置後の試験片上の試験菌をSCDLP液体培地で回収し、生菌数を測定します。
類似の方法に下記もございます。これらは、栄養を添加して行う試験です。汚れの存在を仮定する場合や、有機物の存在により検体の効果が低下することを想定する場合などに、栄養を添加します。
・住宅用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法
・スポンジに対する台所用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法
参照規格例
・日本薬局方 参考情報 消毒法及び除染法※1
・EN 13697※2
・ASTM E2197 Standard Quantitative Disk Carrier Test Method for Determining Bactericidal, Virucidal, Fungicidal, Mycobactericidal, and Sporicidal Activities of Chemicals
※1 最もよくご依頼いただく参照規格です。
※2 活性の要求基準:検体処理前後の生菌数の常用対数値の差が4 log10以上(細菌)または3 log10以上(真菌)
試験菌種
ご依頼いただくことが多い菌種は下記の通りです。下記に限らず、ご希望に応じて試験実施が可能です。
●細菌
Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌*1)、Escherichia coli(大腸菌*2)、
Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)、Bacillus subtilis(枯草菌*3)、
Enterococcus hirae、Salmonella typhimurium、Lactobacillus brevis、
Enterobacter cloacaeなど。
*1 MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)でも実施可能です。
*2 O157やO111(腸管出血性大腸菌)でも実施可能です。
*3 栄養体のほか、芽胞状態でも実施可能です。
●酵母
Candida albicans、Rhodotorula glutinis、Saccharomyces cerevisiaeなど。
●カビ
Aspergillus niger [またはAspergillus brasiliensis](クロコウジカビ)、Cladosporium sphaerospermum(クロカビ)など。
*関連URL
細菌に関する多くの試験で黄色ブドウ球菌と大腸菌を用いるのはなぜですか?
検体の必要量
1菌種・1検体あたり20 mL以上(予備を含む)をご提供ください。
*ご指定いただく検体での処理方法によっては変動します。詳細はお問い合わせください。
*上記必要量に満たない場合は、ご提供可能な量をご提示のうえ、ご相談ください。
費用
時間や菌種などによりますので、詳細はお問い合わせください。
試験期間
2週間~
*菌種や検体数、時間などによりますので、詳細はお問い合わせください。
試験実施にあたって必要な情報
お見積りにあたっては、下記のような情報を頂ければスムーズです。
・検体の種類数
・ご希望の試験菌種
・試験片の材質(ご希望があれば)
・試験片の処理方法
・検体の調製濃度、溶媒(希釈して使用する検体の場合)
・要求される成果物※(和文報告書以外にあれば)
※特にご要望がなければ、和文のご報告書(試験方法・試験結果(生菌数)を記載、画像なし)のみとなります。
よくあるご質問
除菌試験全般に関するよくあるご質問は、こちらをご参照ください。
その他試験方法のご案内
弊社では、さまざまな試験方法で試験を受託しております。
*弊社で受託している主な抗菌性試験・抗カビ性試験の一覧
以下に挙げた以外にも試験実施が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
| 調べる内容 | 試験名 | 主な検体 性状 |
|---|---|---|
| 検体と菌の接触 による除菌効果 (直接) | ・液剤の除菌試験(試験菌懸濁法) | 液体 |
| 検体と菌の接触 による除菌効果 (担体を介して) | ・住宅用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法 ・スポンジに対する台所用合成洗剤及び石けんの 除菌活性試験方法 ・液剤の除菌試験(硬質表面キャリア法) | 液体 |
| 物理的処理 による除菌効果 | ・ウェットワイパー類の除菌性能試験方法 | ウェットワイプ |
| 検体による菌の 増殖・発育抑制 効果(定量) | ・抗菌試験(JIS Z 2801) ・繰返し除菌性試験(JIS Z 2811) | 平板状の 試験片 |
| ・シェーク法 | 特殊な形状の 試験片 | |
| ・抗菌試験(JIS L 1902(菌液吸収法)) ・JIS L 1921(繊維製品の抗かび性試験方法) ・SEKマーク繊維製品認証基準(JEC301) ・AATCC TM100(繊維材料の抗菌加工に関する試験方法) | 吸水性のある 試験片 | |
| ・吸水性樹脂抗菌性能試験方法 (日本衛生材料工業連合会・吸水性樹脂工業会) | 吸水性樹脂 試験片 | |
| ・JIS R 1702(光触媒の抗菌試験) ・JIS R 1705(光触媒の抗かび試験) | 光触媒加工した 試験片 | |
| ・JIS K 6400-9(軟質発泡材料の抗菌試験) | スポンジ製品等 | |
| ・バイオフィルム測定法 | 試験片、液体など | |
| ・置き型・貼付型の検体の除菌試験 | 置き型・貼付型の検体 | |
| 検体による菌の 増殖・発育抑制 効果(定性) | ・ハロー法 | 液体、繊維片 など |
| ・カビ抵抗性試験 | さまざまな性状 の検体 | |
| 検体処理による 除菌効果 | ・除菌試験(UV照射) | 紫外線照射装置 |
| ・除菌試験(モップ・ロボット掃除機) | モップ、 ロボット掃除機など | |
| 検体処理による 漂白効果 | ・カビ除去試験 | 塩素系カビ取り剤 |
| 検体処理による 除菌効果 | ・ろ過性能確認試験 | フィルター、浄水器など |
| ・洗濯に関連する除菌・抗菌・抗カビ試験 | 洗濯機、洗剤など |
不明点ございましたら、お気軽にご連絡下さい。
詳しく知りたい方はこちら:よくあるご質問 > 液剤の除菌試験
