概要
検体にカビの胞子液を接種して培養し、培養前後のATP量を測定することにより、抗菌加工試験片と無加工試験片でカビの発育の阻害・抑制効果を比較する試験です。繊維製品や紙など、吸水性のある検体で実施が可能です。ISO 13629-1も同様の試験方法です。
*ATPは、生きている菌が生合成する物質です。
*本試験とカビ抵抗性試験との違いは、こちらをご覧ください。
試験方法のアレンジも可能です。試験条件や試験菌種、検体性状などの変更を検討されたい方は、その旨ご相談ください。
※JIS L 1921に関するよくあるご質問はこちら。
試験方法
規定では、1/20サブロー・デキストロース液体培地を用いて調製します。試験目的により、この栄養条件を変更することもあります。*単一胞子液を用います。カビ抵抗性試験と異なり、混合胞子液を用いることはできません。
0.20±0.03 gに裁断した試験試料・対照試料を準備します。
*1検体につき、培養前後各3枚ずつの試料を用いて試験を行います。
*試料の滅菌は、ご指示がない限り行っておりません。ご希望でしたら、その旨ご教示ください。
*対照試料は「試験試料と同様の基材で、抗かび加工を施していないもの」を指します。
*対照試料に関する注意事項
・対照試料が準備できる場合:無加工試験片での試験不成立の可能性とその対策
・対照試料が準備できない場合:無加工試験片の代用と、試験結果の解釈における注意点
*液体などを用いて何らかの処理をした試験片を試験試料として用い、試験することも可能です。綿布片でしたら、弊社で準備可能です。
試験胞子液を試料に接種し、25±2℃で42±2時間培養します。
・専用の試薬を用いて、培養前後のカビ細胞内のATP量を測定します。
・試験試料と対照試料におけるATP量測定結果を比較し、抗かび効果を評価します。
試験菌種
・Aspergillus niger NBRC 105649(クロコウジカビ)
・Penicillium citrinum NBRC 6352(アオカビ)
・Cladosporium sphaerospermum NBRC 6348
または Cladosporium cladosporioides NBRC 6368(クロカビ)
・Trichophyton mentagrophytes NBRC 32412(白癬菌)
など
※ 規定では上記から選択しますが、試験目的により、規定以外の菌種を使用することも可能です。
検体の必要量
可能でしたら、予備を含めて1検体1菌種あたり10 g以上ご準備ください。
0.20±0.03 gに裁断してご準備いただければ、よりスムーズに試験が可能です。
試験実施にあたって必要な情報
お見積りにあたっては、下記のような情報を頂ければスムーズです。
・検体の種類数
・試験菌種
・対照試料に該当する検体の準備の有無
・要求される成果物※(和文報告書以外にあれば)
・試験片の作製方法(液体やウェットワイプなどで処理をした試験片を用いて試験したい場合)
・変更したい試験条件等(あれば)
※特にご要望がなければ、和文のご報告書(試験方法・試験結果(試験成立条件の判定結果、ATP量、抗かび活性値)を記載、画像なし)のみとなります。
納期
4週間~
*詳しくはお問い合わせください。
費用
その他試験方法のご案内
弊社では、さまざまな試験方法で試験を受託しております。
*弊社で受託している主な抗菌性試験・抗カビ性試験の一覧
以下に挙げた以外にも試験実施が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
調べる内容 | 試験名 | 主な検体 性状 |
---|---|---|
検体と菌の接触 による除菌効果 (直接) | ・液剤の除菌試験(試験菌懸濁法) | 液体 |
検体と菌の接触 による除菌効果 (担体を介して) | ・住宅用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法 ・スポンジに対する台所用合成洗剤及び石けんの 除菌活性試験方法 ・液剤の除菌試験(硬質表面キャリア法) | 液体 |
物理的処理 による除菌効果 | ・ウェットワイパー類の除菌性能試験方法 | ウェットワイプ |
検体による菌の 増殖・発育抑制 効果(定量) | ・抗菌試験(JIS Z 2801) | 平板状の 試験片 |
・シェーク法 | 特殊な形状の 試験片 | |
・抗菌試験(JIS L 1902(菌液吸収法)) ・JIS L 1921(繊維製品の抗かび性試験方法) ・AATCC TM100(繊維材料の抗菌加工に関する試験方法) | 吸水性のある 試験片 | |
・吸水性樹脂抗菌性能試験方法 (日本衛生材料工業連合会・吸水性樹脂工業会) | 吸水性樹脂 試験片 | |
・JIS R 1702(光触媒の抗菌試験) ・JIS R 1705(光触媒の抗かび試験) | 光触媒加工した 試験片 | |
・JIS K 6400-9(軟質発泡材料の抗菌試験) | スポンジ製品等 | |
・バイオフィルム測定法 | 試験片、液体など | |
検体による菌の 増殖・発育抑制 効果(定性) | ・ハロー法 | 液体、繊維片 など |
・カビ抵抗性試験 | さまざまな性状 の検体 | |
検体処理による 除菌効果 | ・除菌試験(UV照射) | 紫外線照射装置 |
・除菌試験(モップ・ロボット掃除機) | モップ、 ロボット掃除機など |