概要
「JISZ2811:2021 繰返し除菌性試験方法」は、主に平面の試験片に対してよく用いる試験方法です。抗菌加工試験片と無加工試験片で、繰り返し除菌操作を行った場合の除菌効果を評価します。
試験方法
① 試験菌液の調製
試験菌を1/500ニュートリエント培地に懸濁させ、2.5×105~10×105 CFU/mLに調製し、試験菌液とする。
② 抗菌加工試験片の処理(繰り返し試験操作)
抗菌加工試験片6枚に0.40 mLの試験菌液を滴下接種し、40±2 mm四方のポリエチレンフィルムを被せる。
このうち、3枚を接種直後の生菌数測定に供する。
また、残り3枚を35±1℃、相対湿度90%以上の条件下で24±1時間培養した後、フィルムを除去し、
乾いたろ紙を5~10秒間おいて試験菌液を除去する。
さらに、精製水を浸漬して余液を切ったろ紙を5~10秒間おいて試験菌液を除去する。
再び、乾いたろ紙を5~10秒間おいて試験菌液を除去する。
その後、同様の条件・操作で試験菌液を滴下接種、培養し、試験菌液を除去する。
③試験片への試験菌液接種と静置
未処理の抗菌加工試験片3枚、繰り返し試験操作を行った抗菌加工片3枚、無加工試験片6枚に0.23 mLの試験菌液を滴下接種し、30±2 mm四方のポリエチレンフィルムを被せる。
このうち、無加工試験片3枚を接種直後の生菌数測定に供する。
残りを、35±1℃、相対湿度90%以上の条件下で4時間培養する。
④ 生菌数測定
各試験片から試験菌を洗い出し、生菌数を測定する。
試験菌液接種直後:無加工試験片のみ
試験菌液接種4時間後:無加工試験片、抗菌加工試験片(未処理と繰り返し試験48時間処理済み)
⑤ 評価
JIS Z 2811に従って、初期減少値、繰り返し減少値、無加工試験片の増減値を算出する。
*試験前の試験片の滅菌は、ご指示がない限り行っておりません。ご希望でしたら、その旨ご教示ください。
*無加工試験片は、「抗菌加工試験片と同様の基材で、抗菌加工を施していないもの」を指します。
*無加工試験片に関する注意事項
・無加工試験片が準備できる場合:無加工試験片での試験不成立の可能性とその対策
・無加工試験片が準備できない場合:無加工試験片の代用と、試験結果の解釈における注意点
*液体やウェットワイプを用いて何らかの処理をした試験片を抗菌加工試験片として用い、試験することも可能です。合成樹脂(ポリプロピレン)試験片、ガラス試験片、ステンレス試験片でしたら、弊社で準備が可能です。
*JIS 規定とは異なるが、24時間後の生菌数を調べたいなどございましたら、ご相談ください。
試験菌種
・Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)NBRC 12732
・Escherichia coli(大腸菌)NBRC 3972
*JIS Z 2811に規定の菌種は上記2菌種です。試験の目的によって、試験菌種を規定から変更して実施することも可能です。
*細菌に規定されている方法ですが、酵母での実施の要望も受け付けております。前培養や生菌数測定時の培養の条件を、酵母に適した条件に変更します。
検体の必要量
○寸法
50±2 mm四方(厚さ10 mm 以内)
○最低必要枚数
・抗菌加工試験片:12枚(1菌種あたり6枚)
・無加工試験片:12枚(1菌種あたり6枚)
*可能でしたら、予備を含め、最低必要枚数の2倍量以上ご提供いただければ幸いです。
*試験対象の面(抗菌加工を施してある面、抗菌効果を期待する面)に指定がある場合は、試験お申し込み時または検体送付時にご教示ください。両面に抗菌加工が施されているなどの理由で、特に指定がない場合は、任意の面に試験菌液を接種し、試験を行います(指定がない場合もその旨が分かるよう、ご一報ください)。
試験実施にあたって必要な情報
お見積りにあたっては、下記のような情報を頂ければスムーズです。
・検体の種類数
・無加工試験片に該当する検体の準備の有無
・要求される成果物※(和文報告書以外にあれば)
・試験菌種(規定と異なる菌種で実施したい場合)
・試験片の作製方法(液体やウェットワイプなどで処理をした試験片を用いて試験したい場合)
・試験条件のご要望(規定と異なる場合)
※特にご要望がなければ、和文のご報告書(試験方法・試験結果(試験成立条件の判定結果、培養後の生菌数、抗菌活性値)を記載、画像なし)のみとなります。
納期
3週間~
*詳しくはお問い合わせください。
費用
その他試験方法のご案内
弊社では、さまざまな試験方法で試験を受託しております。
*弊社で受託している主な抗菌性試験・抗カビ性試験の一覧
以下に挙げた以外にも試験実施が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
調べる内容 | 試験名 | 主な検体 性状 |
---|---|---|
検体と菌の接触 による除菌効果 (直接) | ・液剤の除菌試験(試験菌懸濁法) | 液体 |
検体と菌の接触 による除菌効果 (担体を介して) | ・住宅用合成洗剤及び石けんの除菌活性試験方法 ・スポンジに対する台所用合成洗剤及び石けんの 除菌活性試験方法 ・液剤の除菌試験(硬質表面キャリア法) | 液体 |
物理的処理 による除菌効果 | ・ウェットワイパー類の除菌性能試験方法 | ウェットワイプ |
検体による菌の 増殖・発育抑制 効果(定量) | ・抗菌試験(JIS Z 2801) ・繰返し除菌性試験(JIS Z 2811) | 平板状の 試験片 |
・シェーク法 | 特殊な形状の 試験片 | |
・抗菌試験(JIS L 1902(菌液吸収法)) ・JIS L 1921(繊維製品の抗かび性試験方法) ・SEKマーク繊維製品認証基準(JEC301) ・AATCC TM100(繊維材料の抗菌加工に関する試験方法) | 吸水性のある 試験片 | |
・吸水性樹脂抗菌性能試験方法 (日本衛生材料工業連合会・吸水性樹脂工業会) | 吸水性樹脂 試験片 | |
・JIS R 1702(光触媒の抗菌試験) ・JIS R 1705(光触媒の抗かび試験) | 光触媒加工した 試験片 | |
・JIS K 6400-9(軟質発泡材料の抗菌試験) | スポンジ製品等 | |
・バイオフィルム測定法 | 試験片、液体など | |
・置き型・貼付型の検体の除菌試験 | 置き型・貼付型の検体 | |
検体による菌の 増殖・発育抑制 効果(定性) | ・ハロー法 | 液体、繊維片 など |
・カビ抵抗性試験 | さまざまな性状 の検体 | |
検体処理による 除菌効果 | ・除菌試験(UV照射) | 紫外線照射装置 |
・除菌試験(モップ・ロボット掃除機) | モップ、 ロボット掃除機など | |
検体処理による 漂白効果 | ・カビ除去試験 | 塩素系カビ取り剤 |
検体処理による 除菌効果 | ・ろ過性能確認試験 | フィルター、浄水器など |
・洗濯に関連する除菌・抗菌・抗カビ試験 | 洗濯機、洗剤など |