シートを用いて保存効力試験をすることはできますか?

液体製品などのご依頼が多いですが、シート状の検体(シート状で市販されている製品、液剤を不織布などに含浸させた試作品など)でも試験が可能です。

シート状の検体での試験の目的

シート状の検体での試験が適切かどうかは、下記を参考にご判断ください。
◆シート状での試験が適切なケースの例
  シートに含浸させた状態での保存効力を確認したいとき。シート状の製品として処方が固まっているとき。
◆液体での試験が適切なケースの例
  シートに含浸する液剤の状態での保存効力を確認したいとき。シートに含浸させる液剤の処方検討段階、スクリーニングのとき。

シート状の検体での試験の手順

液体製品などでの試験と同じく、検体(シート)に試験菌液を接種し、一定期間保存後に検体の生菌数を測定します。
生菌数測定は液体製品などとは異なり、シートを適当な溶液で洗い出し、洗い出し液の生菌数を測定することで行います。

シート状の検体での試験の注意点

液体製品などに比べると、生菌数を測定するときに、検体からの試験菌の回収率が比較的低い傾向にあります。
0日目の生菌数は、実際に検体を採取して測定するのではなく、試験菌液の生菌数と検体への接種量から計算で理論的に求める条件での試験依頼が大半です。
しかし、シート状の検体では回収率の関係で、0日目の生菌数の理論値と実測値が乖離するケースがあり、保存後の生菌数(例えば、14日後や28日後の生菌数)の実測値と単純に比較できないことが考えられます。
0日目の生菌数も測定するようにすれば、同じ条件で測定した保存後の生菌数とも比較ができますので、0日目の測定を行うことをおすすめします。

適合性確認試験について

検体に含まれる抗菌物質等の影響により、検体から菌が適切に検出できず、生菌数が正しく測定できないことも考えられます。
適合性確認試験は、検体が存在しても生菌数が正しく測定できるかを確認する試験です(検体からの菌の物理的な回収率を確認する試験ではありません)。
次のような手順で行います。
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検体を適当な液(SCDLP培地など)で希釈したり洗い出したりした液と、適当な液そのものを準備する。
それぞれ一定量の菌を接種し、すぐに生菌数測定操作を行う。
(シート状の検体に菌を接種するのではありません。)
両者の生菌数の差が許容範囲内かどうかを確認する。許容範囲内であれば、菌が正しく検出されたと判断する。
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適合性確認試験は行うべきか?

日本薬局方など、各種規格文書に基づけば必須です。
時間も費用もかかるものですし、ご依頼いただく背景によっては不要なこともありますので、ご希望に応じて実施の有無をご選択いただいております
適合性確認試験を実施するかどうかは、データの提出先がどの程度の精度でデータを要求しているかによります。したがって、データの最終的な提出先にご確認いただくことをおすすめいたします。