細菌に関する多くの試験で黄色ブドウ球菌と大腸菌を用いるのはなぜですか?

細菌は大きく分けて、グラム陽性菌というグループとグラム陰性菌という2つのグループに分類されます。
この2つのグループは細胞壁の構造に大きな違いがあり、この構造の違いによって試験の結果が変わってくる可能性があります
すべての細菌について調べることはできませんので、多くの試験において、グラム陽性菌の代表的な種として黄色ブドウ球菌、グラム陰性菌の代表的な種として大腸菌が用いられます。

黄色ブドウ球菌、大腸菌をはじめ、グラム陽性菌、グラム陰性菌それぞれについて試験によく用いられる菌種の例を下記に示します。これらの細菌は身の回りによく存在し、中にはまれに感染を引き起こす菌種もあります。

◆グラム陽性菌の例
Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)、Staphylococcus epidermidis(表皮ブドウ球菌)、Streptococcus mutans(ミュータンス菌)、Cutibacterium acnes(アクネ菌)、Bacillus subtilis(枯草菌)、Listeria monocytogenes(リステリア菌)

◆グラム陰性菌の例
Escherichia coli(大腸菌)、Klebsiella pneumoniae(肺炎桿菌)、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)、Legionella pneumophila(レジオネラ菌)、Moraxella osloensis(モラクセラ菌)、Proteus mirabilis(ミラビリス菌)、Salmonella enterica(サルモネラ菌)、Campylobacter jejuni(カンピロバクター)、Vibrio parahaemolyticus(腸炎ビブリオ)