結論
無加工試験片であっても実は多少の抗菌性がある場合があり、試験が不成立になることがあります。その場合、試験条件を規定から変更して試験をすることも可能です。適切な試験条件を見つけるための予備試験が別途必要です。
前提
無加工試験片※1であっても、原料自体の特性や試験片作製時の何らかの処理により、多少の抗菌性があることがございます。その結果、試験を行っても不成立※2になることがございます。
※1 抗菌加工試験片と同様の基材で、抗菌加工を施していないもの
※2 無加工試験片に試験菌を接種して培養しても残存生菌数が少なく、規定の試験成立条件を満たさないこと
無加工試験片で試験不成立の場合の条件検討
抗菌加工の効果を調べることが目的の場合は、抗菌加工試験片と無加工試験片の試験結果を比較する必要がございます。そのため、無加工試験片を用いて試験をしたときに、試験が成立する必要がございます。
規定通りでは試験が不成立になる可能性があるときは、試験条件を規定から一部変更し、試験が成立する※3条件で試験を行うことが可能です。規定の試験条件からは逸脱しますが※4、試験条件を変更しない限り、抗菌加工の効果を調べることはできません。
※3 無加工試験片に試験菌を接種して培養したときに、一定量以上の生菌が残存していること。
※4 規定はあくまで、ある条件で試験をするときの試験方法を標準化したものという意味合いが強いものです。条件によっても抗菌効果は変わりますし、どのような条件で試験をしなければならない、といった決まりもございません。
具体的には、試験菌液に含まれる栄養の濃度や種類(JIS Z 2801規定では1/500NB、JIS L 1902規定では1/20NB)を変更し、無加工試験片でも一定量以上の生菌が残存するようにします。適当な条件を見つけるため、予備試験が必要※5となります。
※5 予備試験には費用が別途かかり、納期も多少延長されます。
栄養条件を複数試してみても試験が成立しない場合、無加工試験片に処理※6をして、抗菌性を低下させる方法もございます。
※6 水や熱湯に一定時間浸漬する、など。詳細はご相談ください。
その他のケース:試験菌が異なる場合の試験不成立
試験菌を規定から変更した場合も、試験不成立となることがございます。その場合も予備試験を行い、上記同様に栄養条件等を検討したほうが確実です。